高フープ応力耐性と低遮蔽電流性を両立するHTSコイル技術に向けて（1）スウライブタイプのREBCO線材を用いたコイルに生じる遮蔽電流

摘要

高磁場かつ高精度磁場でコンパクトな NMR 磁石を実現するには、>300 MPa のフープ応力耐性と低遮蔽電流磁場特性を両立する新しい HTS 線材（第 3 世代）が必要である。我々は、スクライブによって多芯化した REBCO 線材は遮蔽電流磁場の低減に有効であることを報告したが［1］、この種の線材では、機械強度が低い欠点があった。最近、スクライブ工程の後に銅メッキする新しい REBCO 線材が商品化された。この種の線材を用いれば、高フープ応力耐性と低遮蔽電流性を両立できる可能性がある。この種の線材では、フィラメント間の銅安定化材に流れる結合電流の影響が懸念されてきたが、この影響が明らかになっていない。本研究では多芯 REBCO コイルにおける結合電流の影響と結合時定数を実験的に定量化した。