陰解法における内部反復パラメータが非定常流体解析に及ぼす影響

摘要

本研究では，30P30Nを対象として非定常流体解析を実施し，陰解法の内部反復パラメータが空力や近傍場?遠方場音響に与える影響について調査した．その結果，時間平均空力に関してはパラメータ毎にある程度の差が出たものの，近傍場音響に関してはパラメータ毎の違いは小さかった．また，遠方場音響に関してはサンプリング数および平均化回数が少なかったため，低周波側でパラメータ毎の違いが表れた．本研究で用いた内部反復のパラメータでは，どのパラメータを用いても近傍場音響のデータには明確な差が見られなかった．これらはスラットコーブ内においてCFL数がOとなるように時間刻み幅を設定して解析を実施したことが大きく影響していると推察される．本研究からは，スラットコーブ内においてCFL数がOとなるように時間刻み幅を設定し，解析が発散しない程度に内部反復計算のCFL数を設定し数回程度反復計算を実施すれば，近傍場音響データはある程度の精度で取得できるという知見が得られた．遠方場音響に関しても，サンプリング数および平均化回数を増やせば同様の事が言えると推察される．しかしながらこの知見は統一的なものではなく，あくまで今回解析した条件?格子?スキームにのみ適用できるものである点に注意が必要である．今後は構造格子だけではなく，直交格子ベースの非構造格子でも同様の傾向が得られるか調査を実施する予定である．