実走行時におけるベビーカーの段差乗り上げ挙動解析（マルチボディダイナミクスシミュレーションモデルの開発）

摘要

ベビーカーとは乳幼児を連れた移動時に使用するものであり，身体的負担を緩和することのできる便利な道具として普及している．ベビーカーの安全性や快適性に関わる要因の一つとして，走行時に発生する振動が挙げられる．この振動は乳幼児にとって大きなストレスとなるだけでなく，ベビーカーを押す操作者の腕にも伝わり，不快感を与える上に操作性にも影響を及ぼす．そのため，路面形状によってベビーカー操作者に与えられる身体負担や危険感の調査も行われてきた．また，ベビーカーはコンパクトに折り畳めるようにするため関節部が多く存在する上に部品点数が多く，それらの結合部において大きながたが存在するため，路面から伝わる振動だけでなく，それらのがたに起因した振動も発生する．現在，ベビーカーの設計に関しては，振動低減や衝撃吸収などの技術を取り入れることが必要不可欠となっているが，それらはクッションやサスペンションの開発などに限定されており，ベビーカーの機構自体の改良はほとhど行われていない．