モデル予測制御法によるICT機器温度管理と省エネルギーを考慮した外気導入型データセンタの冷却制御

摘要

本稿では，データセンタの総消費電力を削減するために，サーバ温度情報をファシリティファンの制御に導入し，MPCに基づいてサーバ温度管理と省エネルギーの両者を両立させた冷却制御手法を提案した．本研究の制御対象であるモジュラー型データセンタは外気を直接用いるため，部分空間同定法により，外気温度やサーバ稼働率の外乱を考慮したCPU温度の動的特性を再現する状態空間モデルを構築した．高精度で動的特性を再現でき，異なる環境条件や稼働条件に対応できる有効なモデルとなった．提案するMPCによる制御手法を実機で評価した結果，提案制御手法は，制約条件であるCPU温度90°C以下を満足し，従来の制御手法よりも大幅にファシリティ消費電力の削減が図れることを確認した．その削減率は，外気温12°C条件下で76%，外気温30°C条件下で20%を確認した．今後は，提案法が安定的な温度管理と省エネ運転の両者を実現できることから，様々なタイプのモジュラー型データセンタへの適用展開を行っていく予定である．