PSDセンサのみを持つ全方向移動ロボットの群れおよび追従行動の発現アルゴリズム：群ロボットシミュレータを用いた追従行動に対するアルゴリズムの性能評価

摘要

群れて行動することにより個体が持つ機能以上の機能を発現する生物が存在する．これに倣い移動ロボットにおいても群れとして高度な機能を有することが知られており，それに関する研究も数多く報告されてきた．その中には，様々なセンサ，カメラ，または通信機能をロボットに搭載することで，有用な群れロボットが開発されてきたものもある．一方，目的の機能を実現する範囲内で個々のロボットの機能を簡略化する研究もなされている．個々の簡略化はコスト削減に結びつくため，使用するロボットが多くならざるを得ない状況でその効果が顕著に現れるが，個々のロボットの仕様が固定されている場合，どのようなソフトウェアを実装すれば目的の機能を発現するのか，という疑問も湧いてくる．このような背景の中，筆者らは，生物模倣を目的とした群ロボットの実機実験等を用いて行ってきた．た，また，予め群れの挙動を予測できるよう群ロボットシミュレータも開発してきた．その研究において，シミュレータを用いることにより，3つのPSDセンサのみを有する全方向移動ロボットに対して，群れ行動および追従行動を発現させる非常に単純なアルゴリズムを提案した．しかし，その行動発現に群れの大きさと追従対象の速度の影響を受けることが確認されていた．本稿ではそれらの条件を変えシミュレーションを行い，追従行動発現の条件を調査した．