数値計算によるダリウスタービンの２次元空力特性予測

摘要

ダリウスタービンは風車，潮流発電，低落差水車用として研究開発が実施されている．特に風車や潮流発電ではダリウスタービンの最大の特徴である360 度すべての流向に対応できる性質を効果的に利用している．また，ダリウスタービンは1回転中に迎え角が大きく変化し，1以下の周速比では迎え角が0 度から360 度まで変化することになり動的失速が生じる．この複雑で興味深い現象に魅了された研究者により，これらの現象を対象にした研究も数多くなされている．ただし，最も重要な出力係数やトルク係数については数値解析により実験結果と十分に一致する結果を得るには至っていない．このためかCFD による解析では実験結果による検証を踏まえず，動的失速などの定性的な現象把握を主眼にした報告が多く散見される．また，十分な計算時間を確保し，計算の収束性について吟味，評価し，明確な記述をしている例は少ない．特に格子点数が多い3次元計算では収束性の吟味は計算時間や計算コストを考えると難しい課題といえる．本研究はダリウスタービンまわりの数値流体計算を実施し，その実験結果との比較により，数値流体計算結果の検証とともに，実験結果の妥当性や補完によりダリウスタービンのより詳細な特性を明らかにすることを目指している．ここでは計算対象とするタービン翼のアスペクト比が6 と大きく，翼端板も付加され，3 次元影響は少ないと推測できることから2 次元計算を実施している．これにより，より少ない格子点数で高い計算精度を維持するとともに，解を収束させるための十分な計算時間を確保しながら，多くの運転状態に対する計算が達成されている．