液相乱流噴流中におけるスカラー統計量のSc(Pr)数依存性と光ファイバLIF 法によるマイクロスケール濃度プローブの開発研究

摘要

乱流中においてスカラー量(物質濃度や温度)が混合·拡散される現象は工業分野のみならず自然現象において数多く現れるため，その現象の解明は学術的に重要である．特に高レイノルズ数·高Schmidt 数物質拡散場に対して，乱流速度場の最小スケールであるコルモゴルフスケールより小さい空間に粘性対流小領域および粘性拡散小領域と呼ばれる統計的普遍平衡領域の存在が議論されている．この粘性対流小領域や粘性拡散小領域は，乱流中でのスカラーカスケード過程の空間的な最終段階であるが，その統計的性質は十分には明らかにされていない．また，スカラー量の分子拡散係数の大きさが，乱流拡散場の統計的な性質，特に慣性小領域以下の微小スケールでの速度-スカラー結合統計量に及ぼす影響についてついては，計測の困難さもあり，これまでに十分な研究報告がなされていない．以上の背景から本研究では，その研究目的を，慣性小領域以下の微小スケール領域における速度-スカラー結合統計量に及ぼす分子拡散係数の効果を明らかにすることにおき，その第一段階として，本稿では，代表的な乱流せh断乱流の一つである軸対称噴流拡散場を対象とし，速度場，熱拡散場(Pr～O(10))及び物質拡散場(Sc～O(10~3)) を測定し，乱流拡散場のSchmidt 数(Prandtl 数)依存性を考察した．また，濃度場において，より高い分解能での計測を行うため，光ファイバを用いたLIF 法によるマイクロスケール濃度測定法に関する基礎研究を行った．