カーボンナノファイバー分散ポリカーボネート基複合材料の導電性発現機構に関する検討

摘要

カーボンナノチューブ（CNT）の一種である気相成長炭素繊維（VGCF）とポリカーボネート（PC）の複合材料であるPC/VGCFは荷重を負荷すると電気抵抗値が変化する感圧導電性材料であり，荷重測定用センサに使用されている．近年の感圧導電性材料の研究では，二つの導電機構が考えられている．1つは，J．Frenkelらによって提唱されたパーコレーション理論である．パーコレーション理論は，導電体同士が接触することにより電気が流れるという考え方である．2つ目は，Polleyらによって提唱されたトンネル効果である．トンネル効果は，粒子間のギャップを電子が飛び越えることで，導電体の接触がなくても電気が流れるという考え方である．PC/VGCFに関する研究では，PC中にVGCFを均一分散させることに成功したが，これらの導電機構のメカニズムは明らかになっていない．本研究では，PC/VGCFの導電性発現機構を明らかにすることを目的として，PC/VGCFにおけるVGCF添加量と負荷荷重を変化させることでVGCF間の距離を変化させ，VGCFの距離と導電性の関係を明らかにした．