難燃性マグネシウム合金（AMCa602）の超高サイクル回転曲げ疲労特性に関する研究

摘要

マグネシウム（Mg）合金は，実用金属のなかで最軽量かつ高い比強度を有することから，主に輸送機の構造部材への適用が期待されている．そのためには，発火点が低く，製造工程において発火が生じるというMg 合金特有の問題を解決する必要がある．このような観点から，Mg 合金にカルシウム（Ca）を添加することにより，発火点を上昇させた難燃性Mg 合金が開発された．しかしながら，添加Ca はMg 合金内において介在物として存在し，強度信頼性の観点からはマイナス因子として作用するものと考えられる．したがって，難燃性Mg 合金の長期使用を想定した場合，超高サイクル域まで含めた疲労特性について検討を加えることが必要である．そこで本研究では，難燃性Mg 合金であるAMCa602 の長期信頼性確保を目的として，応力繰返し数10~7 回を超える超高サイクル域まで疲労試験を行うこととした．その際，AMCa602 合金のS-N特性について検討を加えるとともに，破面観察を行うことによりフラクトグラフィの観点から疲労破壊メカニズムについて考察を行った．