歯車研削シミュレータを用いた砥粒分布と研削熱の関係性の解明

摘要

歯車研削は熱処理後の硬い歯車を高精度で加工する仕上げ加工であり，歯車の精度を決定する重要な加工である．研削加工は，切削加工と研磨加工の中間的位置づけにあり，切削加工よりも高精度かつ研磨加工よりも高能率な加工が可能である．一方，研削加工は各砥粒による切込みが小さく比研削エネルギーが大きくなる傾向にあるため，著しい発熱が生じ研削焼けの原因となる．これを防ぐために，一般に大量の冷却液が必要となっており，加工の環境負荷が高くなることが問題である．冷却液の少ない新しい加工法の提案には，研削熱の定量的な評価に基づき，研削熱の発生を抑制する必要がある．研削熱は砥粒1つ1つの挙動に起因することから，砥粒分布の違いにより発生する研削熱が増減する可能性があると考えられ，その関係性を明らかにすることが必要である．