宇宙望遠鏡に適用する低熱膨張セラミックスと低熱膨張ガラスの物性比較

摘要

人工衛星に搭載される望遠鏡には，宇宙空間での温度変化に起因する熱変形によって光学性能の劣化が生じないように，低熱膨張材料が多用されている．主鏡等の光学部品には低熱膨張特性と鏡面研磨性の観点でULE，ZERODUR，CIEARCERAM 等の低熱膨張ガラスが適用されてきた．望遠鏡の観測性能をさらに向上させるためには主鏡の大型化が必要不可欠であり，大型化に伴う質量増加への対策として更なる主鏡の軽量化が求められている．低熱膨張セラミックスは，低熱膨張ガラスと比較して，比剛性（弾性率を密度で割った値）が高く，同程度の低熱膨張特性を有することから，軽量かつ形状の安定性が求められる宇宙用光学部品への適用が期待されている．