窒化ケイ素球を用いたマイクロボールフォーミング法におけるテクスチャリング特性

摘要

材料表面に微細構造を付与することで，材料固有の特性を超えた新たな表面機能が発現することが知られており，光学特性やトライボロジー特性，濡れ性などを制御することが可能とされている．材料表面に微細構造を付与する加工法には，マイクロ切削加工やレーザ加工，エッチング加工などさまざまな加工法が開発されている．しかしながら，これらの微細加工法は，加工自由度が低く加工能率が低い，環境に影響を及ぼす化学薬品などを用いるなど，課題が多く残されている．そのため，環境負荷が小さく高能率な微細加工技術が求められている．筆者らの研究グループでは，複雑な自由曲面への展開を目的としてマイクロボールフォーミング（MBF）法を開発した．MBF法とは，図 1 に示すように，外周面に微細形状を有するボールを工具として用い，ボール工具を一定荷重で押し付けながら連れまわり回転させることで，材料表面に微細形状を転写する手法である．ローラ形状の工具では 1 方向にのみ回転可能であるのに対し，ボール形状の工具を使用することによって回転方向に制限がなくなる．そのため，工作物上で自由度の高い動きが可能となる．これまでの研究において，図 2 のような静圧ボール保持機構とスプリングによる定圧機構を有した MBF 装置を製作し，その基本性能を評価した．本研究では，窒化ケイ素球の全面に微細形状を付与したボール工具を製作し，MBF 装置に組み込hで押込み実験を行い，微細構造を有するボール工具を用いた際の基礎特性を評価した．