循環型製品におけるリユース·リサイクル·廃棄部品の構成比がライフサイクルコストに及ぼす影響

摘要

工業製品を構成している部品のリユースおよびマテリアルリサイクルは，新規に製造するよりも環境負荷が小さくなることが期待される．しかし，リユースを前提とした部品を設計·製造することや，マテリアルリサイクルを行うことでコストが発生する．また，工業製品に占めるリユースを前提とした部品の割合が増加するほど，工業製品のコストが増加する可能性があるため，循環型製品を産業ベースで考える上でコストは重要な要素である．修理可能な故障および修理不能な故障を考慮したもとで，単位時間当たりのライフサイクルコスト(Life-Cycle Cost, LCC)が最小となる運用期間が考察されている．しかし，この研究では製品の使用には問題ないが，ユーザの価値観などの影響により，工業製品が陳腐化してしまう機能故障が考慮されていない．また，部品のリユース率およびリサイクル率についても考慮されていない．そこで，本研究ではコンピュータシミュレーションにより，部品レベルでリユース·リサイクル·廃棄率を考え，LCCに及ぼす影響を考察する．