単色撮像素子と単一参照ビームを用いるシングルショットカラーディジタルホログラフィ

摘要

干渉計測法は，光の位相情報を直接的に記録でき，その特徴を活かして定量位相イメージング，単一露光高精度3次元形状計測)などへ応用されてきた。また，複数の波長を記録に用いることで，広範囲の高精度3次元形状計測や3次元構造と色情報の同時取得が可能である。近年では，干渉縞の画像情報であるホログラムを電子的に記録して3次元像を数値再生する，ディジタルホログラフィが盛hに研究されている。ホログラフィの特徴の一つとして，複数種類の情報を空間多重記録可能な点がある。例えば，1万円紙幣の左下部を見るとホログラムがあるが，紙幣をわずかに回転させると異なる画像がホログラムから表示される。複数種類の画像情報が多重化されており，ホログラム，照明光，観察者の位置関係から特定の画像が選択的に観察者の目に映る仕組みが施されている。この特徴を計測に活かすならば，波長情報の多重記録·多波長計測応用が考えられる。また，3次元画像情報を瞬時記録可能なホログラフィとの親和性を考え，多波長3次元動画像可視化技術としての発展が考え得る。実際に近年，細胞の波長分散特性の計測を目指したCommon-path多波長干渉顕微鏡技術が提案されている。ただし，反射型の系を組めず計測範囲は極めて狭く，原理的に視野を広くとれない。本発表では，多波長深深度3次元動画像記録·可視化を将来展望に掲げ，その実現の第1歩としてコンパクトな光学システムで実現可能なカラーディジタルホログラフィを提案する。