サービス工学に基づくサービスCAD システムの構築(第90報）-Webから取得したサービス設計知識の分析

摘要

近年，社会の成熟により経済の中心はモノからサービスへと急速に移行しており，多くの産業分野においてサービスが注目を集めている．このような背景のもと，著者らは工学的観点からサービスを設計するための方法論を提供することを目的とするサービス工学研究を進めている．一般に，設計において設計知識の有無は，設計解の質，設計効率などに対し多大な影響を及ぼす．特にサービス工学の主たる研究対象であるサービス設計においては，従来の製品設計と比較して異なる領域にわたる多種多様な知識がより一層必要とされる．そのため，著者らはこれまでに，複数の領域知識によって構成される多種多様な知識を含む情報ソースとしてWeb 情報に着目し，そこから取得した設計知識を利用してサービス設計を支援する手法を提案している．本手法は，計算機システムへの実装を通じてこれまでに事例検証が行われ，その一定の有効性が確認されている．一方，前述したようにWeb 上の情報は多種多様な領域の知識を含むため，そこから取得される知識量も膨大となるが，現状，これらの知識から対象とするサービス問題に対して有用な設計知識を抽出する作業は，設計者自身が行わなければならず，その負担も小さくない．そのため，Web から取得した設計知識を利用目的に応じて整理することが求められている．この様な問題に対して本稿では，Web から取得した知識を，サービスの設計において効率的に利用可能とするための知識管理手法を検討する．