弾性ヒンジを用いた可変絞り型油静圧スラスト軸受のアクティブ制御に関する研究

摘要

近年，機器の部品精度はますます高精度なものが要求され，それに伴いナノメータオーダでの加工，位置決め技術が必要となってきた．そのため機械の構成要素である軸受や案内面にもより高い剛性が要求されるようになっている．剛性を高めるための手法としては，設計段階で軸受すきまを小さくする，軸受有効面積を大きくするなどが挙げられるが，さらなる高剛性を達成する目的で様々な可変絞りが考案されてきた．しかし可変絞りの構造が複雑になり安定に動作しない，あるいは制御に用いるアクチュエータを油に浸すことなく設置するために軸受構造が複雑化するなどの問題があった．そこで本研究では，絞り機構に弾性ヒンジを用いた可変絞りを提案する．この可変絞りは，構造が非常に簡単で，かつボイスコイルを可変絞りユニット内部に内蔵して能動的な制御を可能にできる．ここでは提案する可変絞りを適用した軸受が，高い静剛性を広い荷重範囲で実現することができ，かつ動的な負荷変動に対しても有用であることを実験的，理論的に明らかにする．