AIを用いた線状加熱方案の自動作成に関する検討

摘要

船体の曲がり外板の多くは，線状加熱によって形成される．線状加熱は，鋼板を加熱する際に発生する塑性変形を利用し曲げ加工を行う技術である．以前より線状加熱の機械化が試みられてきたが，多数の変動因子を持つ熱と変形の過渡現象を実用速度で計算することは非常に困難である．一方で，近年急速に発展しているAI技術を用いることで，数式化できないような非線形関係あるいは曖昧な特徴量の利用·表現が可能であることが知られている．そこで本研究では，線状加熱において任意形状を得るための加熱方案を自動的に決定することを目的に，深層強化学習と数値シミュレーションを統合したAIシステムの構築を試みる．具体的には，強化学習を用いて加熱位置と変形の関係をAIに学習させ，目的形状を得るための加熱方案を作成させる．本検討では，目的形状との差と加熱履歴という，性質の異なる複数の入力に対して学習を行う．また，AIに学習させる際に与える，行動に対する”報酬”について，新たに提案する評価方法を用いることで，加熱線の組合せを考慮する．