大気汚染情報をどのように社会へ伝え，生かすか －再考－

摘要

昨年の本討論会において，大気汚染のモニタリングや調査·研究が様々行われているにも関わらず，その知見·成果が必ずしも社会に十分生かされていないのではないかとの問題意識から，大気汚染に対する社会の関心を喚起し，汚染改善や健康影響等の予防につなげるために，大気汚染情報をどのように伝え，生かしたらよいかを考え，具体的方策を提唱した．その後，周知のとおり，今年冬に北京を中心として中国で非常に激しいPM_(2．5)高濃度現象が起こり，その影響が西日本を中心に日本に及hだ．しかし，日本での濃度レベルは中国と匹敵するには程遠いものであったが，社 会·国民の不安·懸念が高まり，日々報道されたり行政が対応に追われたりするなど，社会問題化した．ここでは，このように実際に社会で起きた事象とその要因を考察し，大気汚染情報をどのように伝え，生かしたらよいかを再度考えるとともに，今後必要なことや課題を考える．