アジア各国の建設業における労働災害の発生状況

摘要

土木学会安全問題研究委員会土木工事の技術的安全性確保·向上検討小委員会では，2016 年 12 月１日に発注者，設計者，施工者，労働者が一体となって建設現場の労働安全衛生の検討を行うことの必要性を提言 1)している．さらに，2016 年 12 月 16 日に，「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」が制定され，建設工事の請負契約において適正な請負代金の額，工期等が定められること，建設工事従事者の安全及び健康の確保に必要な措置が，設計，施工等の各段階において適切に講ぜられること等，計画·設計段階から労働安全衛生の検討を行うことが規定されている．このような状況の中，当研究所においてはこれまでに，計画·設計段階から考える労働安全衛生の法制度として，英国の CDM（Construction (Design and Management) Regulations） 等の欧米の制度を調査 2)した．しかし，アジア等その他の国々においても労働安全衛生の優れた制度があると考えられ，各国の現状を把握することも重要であると考えられる．そこで，本研究では，アジア各国における労働災害の現状を統計的に調べ，我が国の現状と比較して検討した．