ARCS 動機づけモデルを用いた VR による危険予知訓練の評価－地震災害における防災教育を対象として－

摘要

日本は地震大国で，近年ではマグニチュード 8以上の南海トラフ地震などが危惧されている．発生すれば甚大な被害になると予測されているため，日頃から地震防災対策を講じておくことが重要である．しかし，防災意識に関するアンケートの結果から，震災非経験者の 3 人に 1 人は全く防災の準備をしておらず，経験者であっても 8 割は個人的に実施する避難訓練の経験はないということが報告されている[1]．震災時の被害を軽減するためには，震災の危険性を知り，防災意識を向上させるとともに，防災学習に興味を持つことが重要である．近年話題の VR(Virtual Reality)は教育分野との親和性が高い．VR 教材は没入感や臨場感を与え，実際に体験することができないことを提示することが可能である．そこで本研究は，VR 技術を用いた震災体験教材（VR 教材）とマルチメディア教材を作成し，VR空間上で震災を体験して防災対策を学習する場合と，被害写真や解説を見て防災対策を学習する場合において，ARCS 動機づけモデル[2]を用いて学習意欲の向上に対する違いを比較し，VR 教材の有 効性を検証する．