大型重量物吊り上げ技術のインテリジェント化に関する研究

摘要

工程短縮と低コストの観点から，近年，原子力発電所建設工事においては，モジュール工法が多く用いられている．モジュール工法は，配管，機器，架構等から構成されている高密度モジュールを工場で製作し，海上輸送により建設現場へ搬送，その後，大型クローラクレーンを用いて所定の位置へ直接据付ける工法である．その様子を図１に示す．吊り上げ，据え付け時にモジュール本体の変形を抑える目的で，モジュールの各吊り点位置は，荷重が均等に分散する様に複数点計画されている．しかし，モジュールの重心位置のずれや現場での吊り点位置の変更等によっては，偏荷重の発生やそれを調整する作業時間の増大等が問題となる．本研究では，吊り上げ作業における製品の品質確保，作業時間の短縮化，荷重調整のスキルレス化を目的に，多点吊りの荷重分散型計算アルゴリズムを開発した．これによりモジュールを吊り上げる際，水平にかつ偏荷重を発生することなく各吊り点の荷重最適値を迅速に求められる．