ホタテ冷凍貝の過熱水蒸気脱殻および貝柱の冷凍扁平化と加工利用

摘要

ホタテガイの加工品は，輸出品目として北海道の水産加工業では重要であるものの，その製造は，貝の漁期による制限を受けるとともに，昨今頻発する予測困難な貝毒発生による操業停止などのリスクを含hでいる。また，呈味成分の季節変動［1］が知られているものの，その品質を活かした製造体制は図られていない。これら課題への対応として，我々は冷凍貝を用いた高品質干し貝柱（白干し）の製造に取り組hでいる。現在の白干し製造では，生鮮貝を原料とするため，生産体制は約６ヶ月に限定されたものとなっているが，冷凍貝を原料とした試みはなされていない．白干しの品質は，主に外観，色，含水分が重要とされているが，食品製造においては新しい技術である，過熱水蒸気を白干し製造に適用し，我々は成果を得ている．この一連の取り組みの中で，殻付きホタテガイ（原貝）を冷凍する過程において，閉殻筋（貝柱）の形状が変化し，厚みが減少し直径が拡大する扁平化を見出した。今回，冷凍原貝から軟体部分を取り出す開殻·脱殻技術として加圧過熱水蒸気の利用を試みるとともに，扁平貝柱の作出方法と性状を検討し，貝柱乾燥品である白干しへの加工を行った。