グラフェン/グラフアイト接触界面のモアレパターンを指標としたナノスケール摩擦の解釈

摘要

マクロな系において固体同士が接触するとき，接触面 はみかけの面全体ではなく，真実接触点と呼ばれる表面 の突起同士で接触すると考えられている。またデザキュリ エによる凝着説では真実接触点での分子間力が摩擦の 原因であると考えられている。この凝着説において真実 接触部の面積Aと分子間力を切る力であるせh断応力 τを用いて摩擦はF＝τAと表される［1］. 　一方でナノスケールの摩擦は，先行研究において固 体同士の積層の配向角度によって異方性を持つことが 明らかになっている［2］。このように摩擦が配向角度依存性 を持つことは，凝着説における摩擦の定義式の右辺が変 化することになる。このナノスケール異方性のメカニズム を明らかにする為に，本研究ではグラファイト基板にグラフ ェンシートを安定に吸着させた系（図1）を用いて，グラフ ェンシート／グラファイト基板間の積層界面の接触状態と 水平力の関係を調べた。また，ここでは結晶表面の格子 構造を反映するモアレパターンを用いて界面の接触状 態を調べた。