ビアフィリング硫酸銅めっき添加剤の電気化学的分析

摘要

広い電位窓を持つ事と，そのバックグラウンド電流が非常に小さい事で知られるホウ素ドープダイヤモンド（Boron Doped Diamond：BDD）は，高感度検出や電気化学分解法への応用が期待されている．我々は，BDDを利用して，ビアフィリング硫酸銅めっきに使用される3種類の添加剤，Polyethylene glycol（分子量4000：PEG4000），Bis－（sodium sulfopropyl）－disulfide（SPS），Janus Green B（JGB）の電気化学的検出を行ってきた1）．ビアフィリング法において，これらの添加剤が適正濃度で使用されないと，埋め込み不良などのめっき不良が発生する，しかし，これら添加剤は一般的に数～数十ppmオーダーで使用され，分析が非常に困難である事が知られている，またビアフィリング法に用いられる添加剤に限らず，その他のめっき浴で使用される微量添加剤の中にも分析が困難なものがあり，その検出にBDDが期待されている．めっき現場において，微量添加剤の濃度定量を行う事は難しく，現状ではハルセル試験などを行い，仕上がった品物の色調を見て判断する場合も少なくない．今までは，このように作業者の経験に頼った定性的な判断が尊重されてきたが，近年，品質管理面や新しいめっき技術に対応するために定量的な判断が必要となっている．そこで本報告では，BDDの工業的センサーへの可能性を見出すた鋸こ，ビアフィリング法に用いられるめっき添加剤を例に，電気化学分析を試みた．