スパーク放電発光分光分析法による鋳鉄試料の炭素分析に及ぼす試料採取条件の影響

摘要

スパーク放電発光分光分析法(JIS G1253，以下固体発光分析と表記）は，固体試料を直接発光させて含有元素の定量分析を行うものであり，高感度かつ迅速に分析できることから鋳鉄製造現場で多用されている。一方ク本手法による炭素（C）分析の精確さに課題があり，当センターにも技術相談が多く寄せられているが，分析に関する知見が少ないことから，現場での調査を行ってきた。第172回全国講演大会では，山形県内企業の協力により実施した市販の標準試料の持ち回り分析について，各社が通常製造している成分範囲で分析精度が良好であることを報告した。一方J併せて行った調査の結果，現場で採取した球状黒鉛鋳鉄(FCD）試料で，炭素の固体発光分析値が本来の定量値より低くなる場合があり, その原因として試料分析面への黒鉛の存在が予想された。そこで，本研究では種々の条件で採取した球状黒鉛鋳鉄試料の固体発光分析を行い，試料採取方法が分析面の組織や炭素分析結果に及ぼす影響を調べた.