(S3·32-S254)銅ナノ結晶マイクロピラーの圧縮変形挙動

摘要

粗大多結晶金属の薄板試料の引張変形試験において，結晶粒径(d)と試料厚さ(l)の比(l/d)がある臨界値以下になると，同一歪み量での流動応力が減少することが知られている[1]．これは，結晶粒間に働く3 次元拘束応力の及ぶ範囲が有限であることを意味しており，同一物質の場合，その相互作用距離は結晶粒径の減少に伴い増加することが知られている．しかし，結晶粒径が極端に小さく通常の転位増殖源のサイズ以下になった場合，結晶粒内部で転位増殖が行えなくなるため通常のすべり運動は極めて困難となる．そのため，転位のすべり運動が塑性変形を支配している従来の粗大多結晶において確立された3 次元拘束応力の概念を，転位増殖およびすべり運動が困難な超微細粒金属に適用することはできない．本研究では，超微細粒Cu の微小試験片(マイクロピラー)の圧縮試験を行い，3 次元拘束応力の相互作用距離を調査し，超微細粒金属の変形挙動が結晶粒径や試料表面にどのように影響されるかを調べることを目的とする．