自己組織化を利用したハニカム状高分子フィルムの生産技術とその応用

摘要

材料の高機能化の新たな動きとして、生物を模倣して機能性材料設計を行う「バイオミメティクス」の研究が世界的に注目されている。特に、生物が微細な表面構造（かたち）を用いて高い機能を発現していることが明らかにされ、その研究成果を基に新たな機能性材料を実用化されている。たとえば、ハスの葉の超撥水性、蛾の目の無反射性、鮫肌の低い流動抵抗性などである。これら微細構造を利用したさまざまな高機能化を工業化するには、微細な3次元構造を製造できる生産技術が必要である。微細構造の生産技術で最も実績のある技術は、リソグラフィーなどのトップダウン型生産技術である。しかし、この生産技術は、多数の工程を必要とするため、エネルギーや材料消費が多く、近年、重要性を増している環境負荷軽減との両立が課題になりつつある。