アイス·シェディングモデルの開発及び検証

摘要

航空機が運航する高度の雲の中には，過冷却液滴が多く存在する．雲中の過冷却液滴は，機体などに衝突すると凍結し，衝突面に氷層を形成する．これが着氷現象である．着氷は，主翼においては翼性能の低下やストール，エンジンにおいては作動効率の低下の要因となるため，航空機運航の安全性を脅かす．これらの問題を解決するために，本現象に関する研究は，NASAをはじめとする世界的に主要な機関において，実験と数値解析の両方の側面から長く行われている．着氷現象は，大気の温度や水分含有率(Liquid Water Content, LWC)，衝突面の壁面温度，衝突液滴の位置や質量が複雑に絡み合い発生する．これらの，発生条件を実験で忠実に再現するのは難しい．また，着氷試験は膨大な費用を要し，設置場所も限られる．従って，本研究は，近年のコンピュータの急速な発展もあることから，CFDを用いて着氷現象を解明する．CFDによる着氷シミュレーションでは，NACA翼などを用いた二次元解析から，ジェットエンジン動静翼列における三次元解析まで，幅広く着氷現象を再現可能である．