Ag-Au合金を母材とするBi2223線材およびバリア入りBi2223線材の交流損失特性

摘要

Bi2223線材の幅広面に垂直な横磁界中において交流損失（磁化損失）を低減するためには，フィラメントのツイストだけでなくバリア導入等による横断抵抗率ρ_tの向上が必須である。我々は，SrZrO_3+Bi2212 (20wt％)バリアの導入と10mm以下のツイストを組み合わせることで，垂直磁界下での特性周波数f_c（＝1/2πτ_c,τ_c：結合時定数）が100Hz以上に向上し，商用周波数域において40～50％程度の垂直磁界損失の低減が得られたことを報告した。一方，ツイスト長の低減と共にバリア層が破れフィラメント同士の直接接触が発生することを確認しており，これが損失低減の妨げになっている可能性がある。本研究では，純銀より7～8倍程度高い抵抗率（＝2.2×10~(-8)Ωm@77K)を持つAg-Au (8wt％)合金を母材とするフィラメント間接触がないツイスト線材と，SrZrO_3+Bi2212バリア入りツイスト線材の垂直磁界損失特性を比較·検討した。