吸着層内非定常熱伝導シミュレーションによる接触熱抵抗低減効果の解析

摘要

本研究では，吸着材が一定の発熱·吸熱を行う場合について，非定常熱伝導シミュレーションにより吸着材とフィンの間の接触熱抵抗低減が吸着材層内の熱伝導に与える影響を調べた．その結果，以下の知見を得た．1) シリカゲルとフィンの間の接触熱抵抗低減は，下層(1 層目，2 層目，3 層目)には加熱·冷却ともに効果的である．2) 上層(4 層目，5 層目)は10 s までは効果を示さず，その後に効果を発揮し，5 層目において最大温度差は80s のときに5.8 K となった．3) V 溝と矩形溝とで，ほぼ同じ結果となった．実際に製作する際の加工誤差を考慮すると，V 溝のフィンのほうが有効である．実際の吸着·脱着現象では，吸着材の発熱·吸熱量が一定ではなく吸着·脱着量に応じて変化するため，蒸気の移動を考慮し，吸脱着を含めたモデルでシミュレーションを行うことが今後の課題である．