TFE/NMP系吸収サイクルの性能解析（第2報：濃縮·希釈について）

摘要

環境保護·省エネルギーの観点から，冷凍·空調の分野では熱駆動冷熱機器）である吸収冷凍機に注目が集まっている．現在日本では，H_2O／Libr 系が大型機器を中心に空調用として広く使用されている．また，NH_3／H_2O系も産業用の冷凍機としての需要が拡大しつつある．しかし，H_2O／Libr系では，0°C以下のヒートポンプ運転ができず，また，溶液の高濃縮時に結晶析出の懸念から動作範囲が狭い範囲に限定されている．一方，NH_3／H_2O系ではアンモニアの毒性への対処，また，高圧ガスの規制などの障壁がある．これに対し，TPE／NMPでは0°C以下のヒートポンプ運転が可能なこと，高濃度範囲での利用が可能なこと，また，動作圧力も低く高圧ガス保安法の規制を受けないなどの利点があり，次世代の吸収作動媒体としての期待が高まっている．そこで，本研究では，TFE／NMP系吸収サイクルを対象に，高濃度範囲の利用を視野に入れ，溶液の濃度変化が各熱交換器の熱量やサイクルの性能におよぼす影響と，冷媒タンクを用いた濃縮·希釈による濃度制御の可能性について実験およびシミュレーションにより調べた．