体外摘出肝臓灌流における臓器の酸素動態と流動特性

摘要

肝臓は栄養を多く含hだ血液を運ぶ門脈（PV，portal vein），酸素を多く含hだ血液を運ぶ肝動脈（HA，hepatic artery）の2系統からの血液の流入があり，類洞という体循環の毛細血管に相当する細い網目状の血管を通して肝静脈から排出されるという複雑な血管構造を有しており，その流動特性と機能は密接に関係している．機能としては代謝·解毒·老廃物の排出を担っており，これらの機能は血液を通して運ばれる酸素消費と密接に関係する．したがって，肝臓の酸素動態と流動特性との関係は機能維持や機能評価のために重要である．現在では，前述したような複雑な血管構造や多機能性から，心臓や腎臓にある人工心臓や人工透析などの臓器の代替装置がいまだに臨床利用できない現状があるため，末期の肝臓疾患に対する治療法は臓器移植のみである．