圧縮機翼の電解加工における電解液流れの水素気泡法による可視化

摘要

近年，圧縮機翼の新たな加工法として電解加工法(Electro Chemical Machining : ECM)が注目されている．図1にECM工程の概要を示す．ECMは，加工物である陰極と，被加工物である陽極の間に電解液を流すことにより，陽極の被加工物が溶解していく過程を利用した金属加工法である．ECMは金属の硬さに関係なく加工ができ，ツールの磨耗がなく，残留応力がないため複雑な形状の加工が可能である．また，高い量産性等の利点から，幅広い分野へ活用が期待できる．しかし，ECMの課題として，電解液流れの不均一性や電極の形状による過加工，加工ムラの発生，ツール形状の決定に長い時間と経験が必要，加工工程の監視および制御，金属水酸化物スラッジの処理等が挙げられ，未だに圧縮機翼の加工にはNC旋盤などによる切削加工が主流となっている．ECMがより実用的な金属加工技術として確立されるために，現在多くの研究者たちがその課題の克服のために研究開発に励hでいる．本研究では，前述したECMの課題の中から、特に，電解液流れに注目し、水素気泡法によりはく離再付着流れの挙動を可視化し，併せてPIV計測を用いることで，ECMにおける良好な流れの条件を把握することを目的とする．複雑な圧縮機翼を簡略化した平板翼，円弧翼模型を用いてECM工程を模擬し，翼周りの流れを調査した．