平滑および切欠試験片の疲労強度整理法と定式化に関する基礎概念（研究の背景と意義および展望について）

摘要

筆者は，この10年余にわたって，平滑および切欠試験片の疲労強度の整理法と定式化に関する研究を行ってきた．目的は試験条件の種々異なる平滑材·切欠材の疲労強度線図を丸ごと定式化することにあり，基礎概念として次のふたっを導入した；『繰返し塑性順応の仮説とこれより誘導される等価繰返し応力比(R_(EQ)比）』および『降伏域成長曲線の標準化にもとづいた降伏域区分型寸法効果則』という考え方である．いずれも新しい考え方であるが，応用の結果ほぼ良好な成果を得た．よって本報では，これらの概念を導入した背景と意義，概念の構成と特徴，今後の展開などの内，これまでの報告で十分に触れることができなかった事柄をまとめる．