放射光CTによるアルミニウム鋳造合金の介在物形状評価と疲労き裂発生メカニズムの検討

摘要

アルミニウム铸造合金は，铸造欠陥に起因する疲労強度の信頼性の低さが欠点である.著者らは，シンクロトロン放射光CTを用いた疲労試験その場観察により，疲労試験時の材料内部を可視化し，Si粒子の割れがき裂発生起点となることを確認した.また低サイクル疲労であり，微小試験片を使用していることも影響している力hき裂発生寿命は破断寿命の最大で約3割の時間を占めており，疲労寿命に対する影響が小さくないことがわかっている.一方，放射光CT画像を用いたことにより，Si粒子の3次元形状を詳細に計測することができ，き裂発生起点となるSi粒子の幾何学的特徴を検証することが可能となっている.本研究では，Si粒子群の幾何学的特徴を表す種々のパラメータを検討しており，それらの粒子破損寿命に対する影響を明らかにすることにより，幾何学的特徴から粒子破損寿命を予測する方法の構築を目指している.これが可能となれば，有限要素解析等に頼ることなく，粒子の疲労寿命への影響を定量評価できるので，材料組織の最適制御への応用が期待できる.本報では，その前段階として，CT画像を用いたSi粒子の形状計測により，破損粒子と未破損粒子の幾何学的特徴の違いについて検討した結果を示す.