応力低減を目的とするアーク·スポット溶接位置の最適化法

摘要

薄板構造は通常，スポット（点）溶接やアーク（連続）溶接を利用して接合される．効率的，経済的な接合方法のため，その利用は自動車の車体やサスペンション構造の他，建築や家電製品等，多岐にわたる．しかし，接合部は剛性の急変に起因した応力不連続境界となり，ナゲット端やピード端には応力集中が生じ，破損や疲労亀裂の起点となり易い．接合の数や場所が不適切な場合には不要な補強による重量やコスト増加をもたらす他，構造体の剛性，振動問題の原因となることもある．応力集中部の形状を変更することにより，力学特性の改善が可能であり，形状最適化はその有効な手段となる．一方，スポット溶接のように応力集中部の形状変更ができない場合には，その位置の最適化も一つの手段となる．そこで，本研究ではスポット溶接またはアーク溶接された2枚の薄板構造を対象に，溶接位置を設計変数として変動させ，目的関数を最小化するスポット溶接位置を求める最適化問題の解法の構築を目的とする．両溶接ともには，溶接部は面内方向に変動するものとし，最大主応力の目標値との二乗誤差を目的汎関数とした．本設計問題を分布系形状最適化問題として定式化し，物質導関数法を適用して感度関数を導出した．形状変動量の決定にはシェルの面内変動用のH~1勾配法（力法）を用い，導出された感度関数に比例した擬似荷重を溶接部の面内方向に与えることにより最適位置を決定した．