ロケット用ターボポンプのロータ形態の違いが軸振動特性に及ぼす影響

摘要

ロケットエンジンターボポンプは，酸化剤や燃料を高圧にして燃焼器へ供給する高速回転機械である（Fig.1）．H-IIロケットLE-7エンジンのターボポンプ開発から今日の開発に至るまで，回転機械特有の半径方向振動は大きな技術課題である．著者らは，ターボポンプの振動問題に対して対症療法的な対策ではなく，設計初期からロータの最適化を図る「形態設計」手法を構築してきた．形態設計とは，ターボポンプを構成するサブシステム（インデューサ，インベラ，タービン，軸受，シール）をどのような配置配列にすれば軸振動特性に対して良好であるかを評価する手法である．本稿では，上段ロケットエンジン用液体水素ターボポンプ（以下，FTPと称す）に対して形態設計を適用し，優位な設計解として抽出されたサブシステムの配置配列の特徴と軸振動特性との関係について述べる．