光パターニング可能な感温塗料をもちいた赤外線熱イメージングデバイスの開発

摘要

赤外線熱イメージングは，対象物の温度分布を非接触で測定できる特徴を生かして，空港での病人検出，電気設備の故障診断，人体検知などの分野で広く使われている．近年，これらに使われる赤外線熱イメージングデバイスは低価格化が進hでいるが，ホームセキュリティー，火災検知／消化システムなどの消費者向けアプリケーションへの適用には，さらなる低価格化が必要である．赤外線熱イメージングデバイスは，被写体が発する赤外線を検出することで，対象物の表面温度を測定する．これらは，赤外線の検出方法によって量子型と熱型とに分類される．量子型センサは，半導体の検出器を用いて，赤外線光子によって励起された電子を検出する．この方式では，熱ノイズを避けるためにデバイスを極低温に保つ必要があり，低価格化が困難である．一方，熱型センサは，微細加工された断熱構造体を内部に持ち，この断熱構造体の入射赤外線による温度変化を測定することで，赤外線を検出する．近年，MEMS技術の発展とともに，熱型センサは高性能化，低価格化が進行している．しかしながら，代表的な熱型センサであるポロメータは，信号読み出し用のLSIの上に複雑な断熱構造体を作製する必要があり，低価格化には限界があると考えられる．一方，最近の低価格，小規模センサの主流であるサーモバイルアレイは，高解像度化が困難である．