ガスケット型イオンセンサを用いた量産ガソリンエンジンの燃焼状態の検出

摘要

近年，環境問題の観点から自動車用エンジンにおいてもさらなる熱効率の向上が求められている．量産ガソリンエンジンにおいても，気筒毎，サイクル毎の高精度な燃焼制御を行うことが可能となれば，実質的な燃費向上が期待できる．量産エンジンにおいてはベンチ試験において最適な点火時期や燃料噴射条件などを抽出し，その試験結果に基づいた燃焼制御が中心となっている．しかしながら，例えば多気筒エンジンでは，運転条件によって気筒毎に充填される吸気量，吸気温度，燃料蒸発量なども異なっている．このため，各気筒での燃焼状態は異なり，点火時期や燃料噴射条件をさらに精度よく制御する余地が残されている．高精度な燃焼制御を実現するためには，応答性が高く，機関への搭載性に優れた安価な燃焼センサの開発が不可欠となっている．そこで，イオンセンサを利用したセンシングシステムが注目され，一部は実用化されている．イオンセンサには，点火電極やシリンダヘッドガスケット内蔵型の電極を用いて気筒毎，サイクル毎のイオン電流を計測する方法が検討されている．本手法は比較的安価であり，既存の部品を利用することから機関搭載性に優れている．本報告では，著者らが提案するガスケット型イオンセンサを用いて，量産ガソリンエンジンの全気筒燃焼運転時におけるイオン電流を計測し，サイクル毎の火炎伝播形状や燃焼時期の検出を行い，積算イオン電流信号を用いて円環型イオンセンサの検討を行った．