ナタデココ懸濁液を用いた円管内流れにおける摩擦抵抗低減化

摘要

配管内に抵抗低減剤を添加することで，乱流の摩擦抵抗を大きく減少させられることが知られている．抵抗低減剤としては水溶性高分子や界面活性剤などが挙げられるが，これらの添加剤のほとhどは化学合成により作られているため，排水時の環境への影響が懸念される．このような添加剤を用いて省エネルギー化を実現できても，環境負荷の増加により排水処理コストが高くなってしまっては意味がない．よって今後は，環境適合性に優れる添加剤を用いた省エネルギー化の実現が求められる．そこで著者らは，天然由来で環境適合性に優れると考えられるナタデココの特性に着目し，ナタデココ懸濁液の抵抗低減効果を実験的に明らかにした．一連の研究において，ナタデココ懸濁液作成時のミキサーの拡散時間が抵抗減少効果に大きな影響を及ぼすことが分かったが，ナタデココの抵抗低減メカニズムについては不明な点が多い．また，ナタデココ懸濁液の粘性特性に関するデータは存在しない．よって，本研究は抵抗低減メカニズムの解明を目的として，ナタデココ懸濁液の繊維挙動や粘性特性と抵抗低減効果の関係を実験的に明らかにするものである．