張力場解析と座屈解析によるインフレータブルビームのしわ発生後の応力場の比較

摘要

軽量で収納効率が高く展開性能にも優れるインフレータブル膜構造のもっとも基本的な様式の一つとして，膜素材を筒状に成形し内部に圧力を加えて膜面に引張の膜張力を発生させることで曲げ剛性を有するはりとしての特性を持たせたインフレータブルビームがある．インフレータブルビームは，荷重が小さい領域では通常のはりと同様の挙動を示すが，荷重がある程度大きくなると曲げ応力による圧縮力が膜張力を上回り，局所座屈によるしわを生じる．さらに荷重が増加するとしわの生じる領域が拡大し，全体が折れ曲がって崩壊する．インフレータブルビームの設計では，局所座屈によるしわの発生を適切に評価することが重要となる．インフレータブルビームに関して，理論·実験·数値解析の面から多くの研究がなされている．近年著者らはMain等の理論を実験的に検証し，解析解と実験結果に一定の差異が存在することを明らかにし，一定の圧縮応力を許容する張力場モデルを用いて，より現実の結果に近い解析解および数値解を求めた．また，許容する圧縮応力の強度に関連したパラメータを，インフレータブルビームを薄肉シェル構造として考えた場合の非線形有限要素解析により，数値的に求める方法を提案した．文献7では，インフレータブルビームの長さと圧縮応力の関係を求めたが，現実的な問題に適用するためには，ビームの径などその他のパラメータと圧縮応力の関係が必要となる．本研究では，インフレータブルビームの外径を変化させたときの，座屈後の応力場について検討する．