生分解性プラスチックの微細構造の変化が 強度及び分解に与える影響

摘要

近年，石油資源の枯渇やプラスチックス廃棄物の処理などの環境問題が顕在化している．対応策として，原料を植物由来とした生分解性プラスチックスによる代替利用が期待されている．しかしながら，生分解性プラスチックスは汎用プラスチックスと比較して機械的強度の面で劣ることなどから，それらに対処するための諸研究が進められている．また，生分解性プラスチックスの機械的強度の経時変化を把握することは，実機への適用過程で必要不可欠である．生分解性プラスチックスの諸物性を向上させる手法として，アニーリング処理による結晶化度の調整や異なる特性を有するポリマーを複合化させるポリマーアロイ化などがある．併せて，これらの手法により微細組織を制御した生分解性プラスチックスの機械的特性と加水分解挙動について系統的な評価を行うことは重要である．この様な観点から本研究では，植物由来の生分解性プラスチックであるポリ乳酸（Poly lactic acid：PLA）に対する改質手法が同材料の機械的特性と加水分解にもたらす影響等について精査した．