超高感度光ファイバセンサで検知したAE波形に基づくCFRP積層板の損傷同定

摘要

炭素繊維強化プラスチック（CFRP）複合材料は，複雑かつ検査が困難な内部損傷を発生しやすいため，その材料により作られた構造物に対する構造健全性診断（SHM）手法が必要となっている．アコースティック·エミッション（AE）法は，その中の1つの手法として期待されている．現在，圧電セラミックスPZT素子はその高感度特性により，AEセンサとして使われているが，大ひずみに耐え難く，SHM用のセンサとして用いた場合，センサの破断や剥がれが起きるといった問題がある．そのため，柔軟かつ高い破断ひずみを有する光ファイバFBGセンサをAE計測に応用することが研究されている．しかし，FBGセンサには十分な感度と応答周波数がないため，AEセンサとしての使用が困難であった．著者らは，位相シフトFBG（PS-FBG）センサという特種なFBGセンサを導入することで，その問題を解決した．さらに，そのセンサを用い，より高感度なバランスドPS-FBGセンシングシステムを構築することに成功してきた．そのシステムを用いて，従来の光ファイバセンサシステムでは計測困難であった，広帯域にわたるAE波を高感度に計測可能となった．そこで，本研究では，バランスドPS-FBGセンシングシステムを用い，モードAE（Modal AE）法によってCFRP 積層板の内部損傷の形態を判断する有効なAE診断手法を確立することを目的とする．