ワールドカップ公式球Brazucaの空力特性

摘要

近年，サッカーの世界大会ワールドカップにおいて使用されるボールは，サッカーボールを構成するパネルは4年に一回の大会ごとに変化している．パネル構成の違いはボール表面の形状に変化を与え，空力，空力特性にも大きな影響を与える．2006年に登場したTeamGeistは，従来のサッカーボールのような五角形12枚と六角形10 枚のパネルで構成されたサッカーボールに比べ真球に近い形状であり，表面はなめらかな滑面を持っている．このボールによる無回転シュートは，表面からの剥離流から生じる力を受け，中長距離シュートにおいてプレ球となることはよく知られ，実際のワールドカップの試合でも技術として確立している．その後，プレを補正するために2010年南アワールドカップにはJあぶあに，2011女子ワールドカップSpeed Cell，2012年ロンドン五輪ではTango12と同パネルのThe Albertが登場している．鎌田らはSpeed CellとJabulaniの空力特性と表面パネルと溝の関係を調べている．Tango12の登場時において浅井らは溝深さと溝の長さの関係と空力特性を調べている．