ウオルター·マッカーシー·スミスと鉄道寮神戸工場製の第一号御料車について

摘要

筆者は前報において、1874（明治7）年に鉄道寮神戸工場初代汽車監察方（Locomotive Superintendent）に就任した英国人鉄道技術者ウォルター·マッカーシー·スミス（Walter Mackersie Smith: 1842-1906）の略歴と、彼の指導下で日本人技術研修生により製造された木製客車について概要を述べた。本稿はその補遺であり、1876（明治9）年に同工場で製造された明治天皇専用の御料車（のちの初代一号御料車）について記したものである。本稿記載内容は鉄道技術史関連文献に基づくものだが、官設鉄道の神戸、新橋両工場で実施された木製客車の製造が、1908（明治明治41）年発足の鉄道院による木製客車製造に及ぼした効果については後日改めて述べる。