定位置予圧における円すいころ軸受のアキシアル荷重変化に関する実験的研究

摘要

円すいころ軸受は，自動車の変速機やデファレンシャルギヤなどの駆動系ユニットに使用されている．ラジアル軸受に分類されているが，内輪と外輪が分離可能であるという構造上，ラジアル荷重を負荷するためには，アキシアル荷重を負荷しなければならない（図1）．そのアキシアル荷重を予圧として負荷するが，円すいころ軸受の内部では内輪大つば面ところ端面は滑り摩擦となるため，予圧を適切にしないと起動時の軸受トルク増大や焼付きなどの問題が発生する．円すいころ軸受のトルク特性を改善するためには，内輪大つば面ところ端面の摩擦低減が重要である．円すいころ軸受を使用する場合には，先にも述べたようにアキシアル荷重を予圧として加えておく必要がある．予圧には間座などで寸法を決めてねじ等で荷重を負荷する定位置予圧とばねや油圧を用いて予圧を負荷する定圧予圧の2 種類がある．性能的には定圧予圧が優れているが，ばね等の部品が必要となるため，一般的には定位置予圧が用いられている．しかし，定位置予圧は使用した場合には，なじみ過程の摩耗によって軸受の組立幅が減少すると予圧もが減少してしまう懸念がある（予圧抜け現象）．また，円すいころ軸受は摩擦による発熱が大きいため，軸受の発熱によって熱膨張が起こり，軸受，軸，ハウジングの温度分布によっては予圧が過大になることも考えられる．そこで本研究では，円すいころ軸受に定位置予圧方式でアキシアル荷重を加えた状態で内輪を回転させ，その時のアキシアル荷重の変化を測定した結果について報告する．