定位置予圧における円すいころ軸受のアキシァル荷重変化と寿命への影響

摘要

円すいころ軸受のアキシァル荷重変化に関する研究はあまり報告されていないが，小杉らの研究では，定位置予圧方式における円すいころ軸受の予圧抜けの原因を軸受内の初期摩耗であるとして，組立幅の減少量と関連づけている．しかし，測定器の分解能や組立幅測定時の温度が考慮されていないなど組立幅減少量の測定精度に問題がある．また，広田の研究では，予圧方式を変えて予圧と温度上昇，摩擦モーメントなどを測定しており，軸受外輪間座のひずみから回転中のアキシァル荷重の変化を測定する方法も提案しているが，実験例の紹介が主であり，まとまった見解を示していない．そこで本研究では，円すいころ軸受30306を用いて，定位置予圧における軸受回転中のアキシァル荷重の変化を測定し，組立幅と予圧抜けの関係，回転中のアキシァル荷重変化が軸受の疲労寿命に及ぼす影響などについて明らかにした．