摩擦·摩耗の素過程で生じるアコースティックエミッション（第4報）－摩耗量とAE信号の定量的関係

摘要

摩擦·摩耗に伴い生じるアコースティックエミッション（固体の変形·破壊の際に生じる弾性波，以下AEと略す）を計測することにより，トライボロジー現象の認識·評価が可能になる．その実現には，AE信号と摩擦·摩耗現象の相互関係を明らかにする必要がある．これまで筆者らは，様々な摩擦·摩耗実験を行い，AE信号と摩擦·摩耗現象の相関関係を調査してきた．特に本研究では，AE法による摩擦·摩耗現象の定量的評価のため，摩擦·摩耗の素過程で生じるAEを追究している．AE法は，摩擦表面における微細な変形·破壊現象（摩耗素子および移着粒子生成など）をよくとらえており，AE周波数の特徴から摩耗形態判別が可能であるため，認識·評価にとても有用である．本報では，摩耗素子（摩耗粒子を構成するもっとも素となる粒子）の生成量とAE信号の定量的な関係について得られた知見を述べる．