ジャーナル軸受端部のベルマウス形状による焼付き特性の向上

摘要

家庭用冷蔵庫の省エネルギー化に向けた取組みの一環で，消費電力の占める割合が高いレシプロ圧縮機の高性能化が推進されている.回転軸が片持ち構造のため振れ回りによる摩擦損失が課題であるので，ジャーナル軸受端部に対し，スラスト針状ころ軸受や自転車用ローラーチェーンのピン·ブッシュなどの分野で検討されている微小な曲線形状からなるベルマウス形状の付与を提案し，ベルマウス形状によるジャーナル軸受の摩擦摩耗特性への影響を評価した.その結果，軸受端部をベルマウス形状にすることで，摩擦係数の低減のみならず，焼付き荷重が顕著に増大することを明らかにした.本研究では，焼付きに至るプロセスに特化し，回転軸と軸受の片当たりを模擬したジャーナル式摩擦試験により局所的な接触集中に関連する摩擦面温度の挙動，温度上昇に伴う材質の変化，異物の関与や油膜切れとの相互作用について評価することで，軸受端部に付与したベルマウスによりジャーナル軸受の焼付き抑制機構についていくつかの知見が得られたので報告する.