非ガウシアンランダム粗面の接触解析

摘要

粗面の接触·潤滑問題において，Greenwood-Williamsonの接触モデル（GWモデル）やPatir-Chengの平均流れ潤滑モデルのように粗面の高さ分布がGauss（正規）分布であることを仮定したモデルが長い間利用されてきた．しかし，粗面の多くは加工やなじみの影響で非Gauss分布となることが知られている．非Gauss粗面は接触時の変形がGauss粗面と異なるため，従来理論モデルでは正確な接触状態を得られないと考えられる．特に全面接触に近い領域では，隣接する接触点の合一や谷部（非接触部）の形状変化の影響が無視できなくなるので，粗さ突起頂点が独立して統計分布に従うとしたMulti-Asperity-Contactの考え方は使えず，接触状態に高さ分布等の影響を受ける可能性がある．そのため，非Gauss粗面の接触問題に関連した研究は様々で行われているが，いまだ密封性に関係するような完全接触に近い条件での検討は不十分である．そこで，本研究では，粗さ分布の対称性を表すスキューネス（歪度S_k）と分布の鋭さを表すクルトシス（尖度Ku）をパラメータとする非Gaussランダム粗面を生成し，その粗面と剛体平面の接触を数値解析により，接触面積の変化，接触面のパーコレーション状態を求めた．更に，接触で生じたすき間の流体潤滑計算からガスケットの漏れ特性を調べ，接触による影響について考察したのでここに報告する．